南イタリアを舞台に、ロマの14歳の少年ピオが逆境の中を生き抜く物語。
自分も親もその親もここで生まれて育った、という場所にいてさえ、国からも町からも存在を疎まれる人たちがいる。
ピオたちは、今となっては、犯罪に手を染めるから疎まれるとも、疎まれてまっとうな道を行けないから犯罪に手を染めるとも、堂々巡りです。そんな環境にあっては、生きてくためには自分を助けてくれた人も、その人が移民や難民であって同じような苦境にいようとも、食い物にするしかない。
社会に疎まれる人たちがみな犯罪に手を染めるわけではありません。そもそも、ああするしか生きられないようにしておいて、それを犯罪と呼んで断罪する社会もおかしい。
そうは言っても自分があの町のマジョリティ側に生まれ育って、ピオたちが隣人であれば、自分たちを害する者として疎んでしまうことは間違いない。
どう考えてみても、どこにも行きつかない。
イタリア映画祭で。
「チャンブラにて」A Ciambra
監督 ジョナス・カルピニャーノ
2017年
イタリア・ブラジル・ドイツ・フランス・スウェーデン・アメリカ合作
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