2018.05.13 14:58「ナイトクローラー」知らないうちに、アマゾンプライムの無料体験をクリックしてしまったようです。となると映画です。ということで、「ナイトクローラー」です。コソ泥をして生き延びてた男が、パパラッチの世界を知り、そこでのしあがっていくところを描いたもの。ジェイク・ギレンホールがはまっています。これを見るのは二度目です。作品として好きなのもありますが、もう一度見たかったのは彼の部屋。要塞のごとく妙に完結した雰囲気と、その要塞で一心不乱に仕事にのめり込む姿が、なぜか好きなのです。自分の部屋の参考にしたくて画像検索しても部屋の様子が出てこないので、もう一度観たかった。参考にと言っても、我が家は狭いので真似できませんけれども。一心不乱に何かにのめりこむ姿は、惹かれます。そうなりたくても...
2018.05.08 14:32「地中海」2015年、イタリアやギリシャを目指して、小さなゴムボートで地中海を渡る難民や移民の姿が頻繁に報道されていました。その、彼らが渡った「地中海」。先日観た、「チャンブラにて」と同じカルピニャーノ監督の作品です。昨年のイタリア映画祭で上映されて、見逃していたもの。主人公の故郷はブルキナファソ。ブルキナの状況や、映画に挿入される断片からすると、迫害や紛争が理由ではなくて、よりよい生活、よりよい人生を求めての船出だったのかなあと思います。でも、貧しいブルキナより、命がけの旅路より、もっと地獄の底なのが欧州での生活という、いつも思うけど、やりきれない現実です。ブルキナでなく戦地から逃げてきた人にとっても同じことだから、なおさらです。主人公の移民たちを異質なものの...
2018.05.04 14:03「チャンブラにて」南イタリアを舞台に、ロマの14歳の少年ピオが逆境の中を生き抜く物語。自分も親もその親もここで生まれて育った、という場所にいてさえ、国からも町からも存在を疎まれる人たちがいる。ピオたちは、今となっては、犯罪に手を染めるから疎まれるとも、疎まれてまっとうな道を行けないから犯罪に手を染めるとも、堂々巡りです。そんな環境にあっては、生きてくためには自分を助けてくれた人も、その人が移民や難民であって同じような苦境にいようとも、食い物にするしかない。社会に疎まれる人たちがみな犯罪に手を染めるわけではありません。そもそも、ああするしか生きられないようにしておいて、それを犯罪と呼んで断罪する社会もおかしい。そうは言っても自分があの町のマジョリティ側に生まれ育って、ピオ...
2018.05.01 14:01「ラジオ・コバニ」約4か月間にわたり町を占拠していたISから解放された、シリア北部の町・コバニ。ISによる殺戮や、ISとクルド人民防衛隊(YPG)との激しい戦い、それを支援するための連合軍による空爆。解放されたとはいってもまさに瓦礫の山と化した町で、ラジオ局を立ち上げて放送する大学生を主人公にしたドキュメンタリーです。タイトルやちらしの明るさとは裏腹に、のっけから残酷な現実を見せつけられます。そうか、あれだけISが人の首を斬りおとし、それからあれだけ激しく空爆されたのだから、復興の第一歩として瓦礫を片付けようと思えば、まず夥しい遺体を掘り出し、集め、埋葬するところから始まるんだな。あの白くすらりとした片足は若い女性のものだろうか。首だけだったのは斬首された青年だろうか。...
2018.04.29 12:51「LUCKY」90歳の通称「ラッキー」。西部劇に出てきそうな小さな町で一人暮らしをし、いかにもカウボーイな(実際は元軍人)格好で、同じ繰り返しの日々を淡々と送っている。加齢で倒れたのをきっかけに、死が近づいていることを悟り、少しずつ、少しずつ、心境に変化が訪れていく。ラッキーはもはや何かを生産するという日々でもなく、家族がいるわけでもない。しかし偏屈ながらも周囲に愛されている。たぶん人生で得た友人のほとんどはすでに亡くなっただろうが、それでも今も年若い友人がいて、町のどこへ行っても受け入れられている。老人をありのままに受け入れ、邪魔者にしない町に住んでいること、それは幸運なんだと思う。繰り返しの日々のようでもその中に思索があって語らいがあって、そこから90歳でも新た...
2018.04.22 14:24『女は二度決断する』講演の原稿に打ち込むぞ、と昨日書いたわりに、それより前に締切の迫った連載原稿に今日は追われました。といってもたった2時間。疲れてもいたし、午後は映画を観に行ってしまったのです。・・・舞台はドイツ。ヒロインは、トルコ系移民の夫と一人息子を、爆弾テロで突然失ってしまう。移民同士の争いと片付けられそうになったが、ネオナチの2人が逮捕され、裁判にかけられる。その行方と、裁判の結果がもたらしたものは――。移民はなぜいつの世も、これほどに憎まれ、排斥されるのだろう。どこの国であっても変わりがない。日本だとて同じだ。欧米の映画を見ると、どの時代も、差別され、蔑まれる存在としての移民が、当たり前のように映りこんでいる。古いアメリカ映画なら、それはイタリア移民だし、今な...
2018.04.11 13:13「ラッカは静かに虐殺されている」ISに支配されたシリア北部の町ラッカで、市民が結成したジャーナリスト集団の、命がけの活動を追ったドキュメンタリー映画。この町でISが何をしたのか、それを世界に知らしめようとした人たちの身に何が起きたのか。話に聞いたことのある、地獄みたいな街の姿が、本当にそこに映っていた。ISは彼らの活動をやめさせようと中心メンバーの父親を拉致して脅し、それでも止められないとなると、父親を虐殺してその様子を撮った動画を送り付ける。それでも彼らは(生き伸びているメンバーは、ということだが)撮り、配信を続けている。最も印象に残ったのは、そういう町からヨーロッパにようやく逃げてきた彼らに、「国に帰れ」とデモンストレーションする欧州の人たちの姿だ。映画ができた後、2017年にI...