ISに支配されたシリア北部の町ラッカで、市民が結成したジャーナリスト集団の、命がけの活動を追ったドキュメンタリー映画。この町でISが何をしたのか、それを世界に知らしめようとした人たちの身に何が起きたのか。話に聞いたことのある、地獄みたいな街の姿が、本当にそこに映っていた。ISは彼らの活動をやめさせようと中心メンバーの父親を拉致して脅し、それでも止められないとなると、父親を虐殺してその様子を撮った動画を送り付ける。それでも彼らは(生き伸びているメンバーは、ということだが)撮り、配信を続けている。
最も印象に残ったのは、そういう町からヨーロッパにようやく逃げてきた彼らに、「国に帰れ」とデモンストレーションする欧州の人たちの姿だ。
映画ができた後、2017年にISは駆逐され、ラッカは「解放」された。けれどシリアの紛争は続いている。シリアの人々を殺しているのはISだけではない。
近年の欧州難民危機を受けて、難民に関する映画が多く作られています(統計とってないけど)。ヒューマンな内容が多く、それはよいのですが、当然ながら、難民を描くというより、難民に押し寄せられる側の視点から描くものが中心。けれど、彼らの母国で何が起こっているのか、どういうところから彼らが逃げてきたのか、それを描いたものが、もっとあれば、とよく思う。
内容を聞いたら、ますます見たくなくなるかもしれない。それでも、見れば、知ってよかった、知るべきだった、と感じる作品だと思います。
「ラッカは静かに虐殺されている」City of Ghosts
2018年4月14日(土)公開
http://www.uplink.co.jp/raqqa/
監督 マシュー・ハイネマン
2017年、アメリカ
配給 アップリンク
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